私が金沢に来て2年が経とうとしています。古都金沢の歴史ある街並みや穏やかに流れる時間、美しい自然に癒されながら、目が回るような過酷なプログラムをこなす今日この頃です。

普段オーケストラでは縁の下の力持ち的な役割が多く、あまり目立たないファゴットですが、実は多くの作曲家がファゴットのために魅力溢れる曲を書いてくれており、とりわけフランス音楽はファゴットが持ちうる魅力を最大限に引き出してくれると思います。というわけで、今回のおしゃべりクラシックはフランス人作曲家の美しい旋律を持つ作品で固めてみました。

フランスのモーツァルトとも言われる優雅な旋律のドヴィエンヌ、花の都パリの美しくお酒落な街並みが目に浮かぶような旋律のジャンジャン、スペインの風が薫る旋律のラヴェル…。それぞれの曲が非常に美しい旋律を持っており、なおかつ曲の持つ感情や情景をイメージしやすい曲です。初めて聴く曲が多いかもしれませんが、十分にお楽しみ頂けるかと思います。

そしてメインはサン＝サーンスのソナタ。彼の最晩年の作品で、全楽章を通してまるで彼の人生そのものを書いたのではないかとも思えるような、美しさ、 苦難、穏やかさ、そして未来への希望を感じさせるようなファゴットの定番曲です。今回、私の金沢で初のソロ・コンサートでもあり、自己紹介代わりに演奏させていただきます。

ファゴットはソロを吹かせても魅カ的な楽器なんだと感じて頂ければ幸いです。（金田直道：オーケストラ・アンサンブル金沢 ファゴット奏者）