施設概要
高い音響特性と優れた臨場感、そして優雅な雰囲気を有したコンサートホールは、荘厳な響きをもたらすパイプオルガンを備え、石川で生まれ育ったオーケストラ・アンサンブル金沢の本拠地として、また、室内管弦楽・室内楽・ピアノを演奏・鑑賞する場として、理想的な環境を実現しています。
音響実験を何度も行った結果得られた数値と専門家の意見をもとに、残響時間、ホールの形状・容積、天井高、客席構成、内装仕上材料などに細かな配慮をして設計しました。中でも、ホールの形状については、敷地形状、建物の全体構成、客席規模を考慮して、豊富な反響が得られるシューボックス形式を採用。その他、客席規模は室内管弦楽を鑑賞するのにちょうどよい1560席とし、バランスのよい音響、迫力ある臨場感を味わえるようになっています。1560席というのは、シューボックススタイルの原点となったライプツィヒのゲヴァントハウスと同じ席数であり、クラシックの様々なレパートリーを演奏するのにふさわしいコンサートホールであると言えます。
シューボックス形式
主にクラシック演奏を目的とするシューボックス形式。
“シューボックス”という名前は、その形状がくつ箱に似た長方形であることに由来するもので、1781年に完成したライプツィヒのゲヴァントハウスが起源であると言われています。側方の反射音が多く、豊かな響きを生み出すのが特徴。クラシック音楽のコンサートホールとしては最も優れた形の一つとされ、ウィーンのムジークフェライン、アムステルダムのコンセルトヘボウなど、有名なオーケストラが本拠地とするホールに多く採用されています。
ホール構造
ホールの主階は2Fとし、4Fまでの三層構造になっています。客席は1階席、2階席(バルコニー席)、3階席(バルコニー席)から構成され、1階席には車いすスペースも含まれています。また、JR金沢駅に面した1Fエントランス/2Fバーコーナー、クローク、ホワイエ/3~4Fホワイエなどの設備は、ゆったりとコンサートを楽しめる環境を演出してくれます。
形状
シューボックス形式
残響時間
1.8~2.2秒(満席時)
ホール面積
6971㎡
客席
合計 1560席 (うち車椅子席8席)
- 1階席:704席(車椅子席8席分 含む)
- 2階席:414席(うちバルコニー122席)
- 3階席:442席(うちバルコニー134席)
楽屋
洋室10室(個室6室、小楽屋1室、中楽屋2室、大楽屋1室)
一部楽屋にピアノ、トイレ、シャワー / 各部屋に姿見、テレビモニター付
関係設備
バーコーナー、クローク、ホールホワイエ、シャワー室など
パイプオルガン
県立音楽堂コンサートホールのオルガンは、ベルリン・フィルハーモニー・ホールや愛知県立芸術劇場のオルガンを製作しコンサートホールのオルガン製作では定評のあるベルリンのカール・シュッケ社が製作しました。
スタイルとしては、19世紀半ば以降、ドイツ圏のコンサートホールに設置されるようになったロマンティック・オルガンで、明快かつ重厚な響きでオーケストラと共に演奏するのに最適な特徴を持っています。音量を調整するスウェル機能やコンテンポラリーでしばしば求められる風圧の調整も可能な機構を備えています。
オルガンデザインについては、日本古来の伝統であるひろげた扇子の形状を、ホールデザインとの一体感に配慮してモティーフとしました。また、オルガンケースの大きな扇子は5個の扇子から構成されており、それぞれがコントラストをもった独特の形状と伝統的モティーフで、石川県立音楽堂のオルガンの特徴を表現しています。
更に、奥行きのある水平トランペットの配置がデザイン全体に力強さを加味しています。演奏台の各所には、石川県の伝統工芸である輪島塗が採り入れられました。演奏台の扉には、日本古来の桜と楓(紅葉)の図柄が描かれています。
設計・製作・組立
カール・シュッケ社(ベルリン)
演奏
鍵盤4段鍵盤+ペダル鍵盤 69ストップ、パイプ数=5143本
スタイル
ドイツ・ロマンティック