音楽堂の沿革
地元ファンのみなさまのための音楽専用ホールがついに完成しました。そしてこのホールが、オーケストラ・アンサンブル金沢の本拠地となるわけです。オーケストラが真の本拠地を持つことは、日本の音楽史上初めてのことであります。同じコンサートホールでリハーサルと本番を行うことができる最高の環境の中で、我々は“OEKサウンド”をここ金沢から世界に向けて発信します。そしてこの石川県立音楽堂に“OEKサウンド”を楽しむため、日本中、世界中からたくさんの人々が来てくださることを願っています。
岩城 宏之(2001年9月)
2001年9月:音楽堂誕生と幕開け
2001年9月12日、邦楽文化と洋楽文化の新しい交流・発信の場として石川県立音楽堂は誕生しました。
9月14日の杮落としを皮切りに2002年3月までの半年間、「開館記念事業」として100公演を実施。OEKの定期公演をはじめ、歌舞伎、文楽など豊富なプログラムで華やかな幕開けを飾りました。
石川県立音楽堂杮落とし公演
2001年9月14日 |
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2001年9月15日 |
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2001年9月16日 |
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2001-2004年:世界の名門オケ、金沢へ
ドイツのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。
「世界三大オーケストラ」と呼ばれる名門オーケストラが次々と来演し、コンサートホールに歴史を刻みました。
2001年10月17日 | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団公演 |
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2002年11月12日 | ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団公演 |
2004年11月6日 | べルリン・フィルハーモニー管弦楽団公演 |
2006-2007年:岩城宏之追悼演奏会・第1回岩城メモリアルコンサート
OEKの初代音楽監督として石川県立音楽堂の創設に大きく貢献した岩城宏之。2006年6月13日に惜しまれながらこの世を去りました。
翌年2007年には「岩城宏之音楽賞」が創設され、毎年9月には同賞の受賞者によるメモリアルコンサートが開催されています。
この賞は北陸に縁を持ち、優れた音楽活動を行っている音楽家を顕彰し、支援する目的で創設された音楽賞です。 「北陸の音楽の拠点」として、地域の人々が音楽を楽しめる環境づくりに努めた岩城氏の想いを、音楽を通して伝える大切な場となっています。
2008年:音楽祭のメイン会場として
2008年5月、当館をメイン会場とした「ラ・フォル・ジュルネ金沢」(2017年より「いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭(2024年よりガルガンチュア音楽祭)」がスタートしました。
この音楽祭は、クラシックから伝統芸能までさまざまなジャンルの音楽が楽しめる北陸最大級のクラシックフェスティバルです。
当館の多様なホールが、異なる雰囲気や用途に応じて最大限に活かされています。
国内外の著名なアーティストだけでなく地元のアーティストも多数参加する「県民に開かれた音楽祭」の拠点として、文化振興においての重要な役割を果たしています。
2013年:映画の舞台に
2013年に公開された映画「リトル・マエストラ」は、石川県を舞台にした作品です。
石川県立音楽堂が撮影に使用され、オーケストラとともに演奏が行われました。当館の美しいコンサートホールが映画の舞台として一役買っています。
作品は上海国際映画祭2013の日本映画週間上映作品にも選ばれ、その音楽と物語が国際的に評価されました。
2020年:コロナ禍を乗り越えて
2020年、世界中に広がった新型コロナウイルス感染症は、劇場や音楽業界にも大きな影響を与えました。石川県立音楽堂も一時閉館を余儀なくされ、OEKも活動を中止するなど、先行きの見えない不安と戦った一年となりました。
ようやく活動が再開された7月、客席では掛け声の代わりに「ブラボー」のプラカードを持つファンの姿も。
2021年:石川県立音楽堂開館20周年
2021年9月12日、開館20周年を記念して合同公演「楽都の響」が開催されました。
これは岩城宏之が生前に力を注いだ地方オーケストラ連携プロジェクトによるもので、開館20周年の節目にOEKが仙台フィルハーモニー管弦楽団を招き、岩城イズムを受け継ぐプログラムを届けました。
同年には、野村萬斎氏を邦楽監督として迎えました。
2021年10月30日に「野村萬斎邦楽監督就任記念公演」が行われ、当館が伝統芸能の発信の場として新たな時代を迎えることを示しました。
2023年:入場者500万人達成
石川県立音楽堂開館より22年目、2023年5月3日に入場者500万人を達成しました。